ようこそ 秋保の杜 佐々木美術館&人形館へ
秋保の杜 佐々木美術館&人形館は、宮城県在住の画家、佐々木正芳の個人美術館として、2013年6月にオープンしました。当美術館は、美術館と人形館の二棟の建物でできています。美術館では佐々木正芳と故・妻佐々木あゆみの作品を中心に展示しています。また、人形館では1階で人形作家の様々な人形たち、2階ではコレクションの作家たちの絵画や彫刻、また同じく人形館2階にある企画展示室では、2~3か月会期で様々な作家の展示を行っています。詳細はホームページ・図録等でご確認ください。
秋保の温泉街から5km程秋保大滝方面に向かった所にある美術館は、四季折々の自然の中で芸術を楽しめる場所です。川のせせらぎや鳥の声、花や紅葉と見る作品群はきっと日常を忘れさせてくれる事でしょう。
美術館の設立者でもある佐々木正芳は、昭和6年生まれ。少年期に戦争を体験し、信じ込まされていたものが崩れ去り、すべてを疑い、芸術活動だけを信じて作品作りにのめり込んでいきました。諷刺的な作品も多く、それらに込められたメッセージは40年近くたった作品においても全く色あせることなく、現代に当てはめることができます。物質主義への警鐘や政治の圧力への抵抗といったモチーフを、エアブラッシュでソリッドに描いた作品群は、怖い絵だと感じる人もいるようです。しかしその絵に出てくる人物たちは、どこか滑稽で憎めない要素を持っています。エアブラッシュを置き、絵筆に戻ってからの作品には諷刺の対象の人物ではなく、現代を見つめる人物が描かれることが多くなっています。やはり父である佐々木正芳は、人間が好きなのであろう。だから70年も人間を描き続けているのでしょう。
美術館を見た後は、人形館をご覧下さい。正芳の妻であるあゆみが中心に集めた人形たちは、とても精巧に作られ、四谷シモン氏や大竹京さんといった人形作家の固定ポーズ、球体関節人形などの作品から、ビスクドールやちりめんを使った人形、世界の人形など、ちょっぴり怖くて可愛いおとぎの世界に入りこんだ気分を味わってみて下さい。 佐々木美術館は個人美術館なので入館料を頂いております。お金を払って絵画を観る、という習慣のない方も是非一度覗いてみてください。決して難しい事ではありません。音楽を聞くように楽しんでみてください。新しい発見があるかも知れません。
佐々木正芳は教育者でもあります。見ることの大切さを長年教え続けてきました。描くときには必ず見なくてはいけません。見ることで真実を見出し、正しき道を進むことができるのだと。
皆様にもゆっくりと、時間を忘れて観るという贅沢を味わい、日常からほんの少し離れて頂けたらと思います。秋保の杜 佐々木美術館&人形館 館長 佐々木克真