2024年11月20日より美術館では「ドールという変移する記号4」が始まります。
秋保ひとがた文化研究室主催のこの展示は今回で4回目を迎えます。毎年様々な趣向を凝らして他角度から”ひとがた”をとらえる展示は人形を代表とする”ひとがた”の多様性を感じさせます。宮城県内外の作家によるそれぞれの”ひとがた”を是非ご覧いただきたいと思います。
期間中12/8(日)14:30〜ギャラリートークを行います。
「ドールという変移する記号4」
2024年11/20(水)〜12/22(日)
10:00〜17:00【月曜定休】
秋保の杜 佐々木美術館&人形館 本館展示室a
一実
川村千紘
菊池市千
筥筺
さくまいずみ
山脈
清水だいきち
せん
タカハシユウコ
つだかおり
柊ノ夜
ほんだあい
ドールという変移する記号
明治時代のはじめ、西洋からの彫刻(アート)が日本に伝わり、仏
師や人形師などにも大きな影響を与えました。しかし後に、帝展など
の場で人形は、彫刻ではなく工芸というジャンルのほうへ振り分けさ
れています。そのことから、あくまで「日常の中で使い、生産され消
えていくもの」というイメージが強かったのだと思われます。そして
現在、日本の創作人形は、さまざまな影響をうけ、いくつもの文脈を
またいだグラデーションで構成されています。柳宗悦が「民藝」とい
う言葉で語った営みの中の美、西洋から入ってきた彫刻や立体アート
といった類のものたち…。さらに、日本のマンガやアニメ文化、フィ
ギュア・ジオラマなどの類も加わり、より複雑に自由なかたちに変化
してきました。
人形は他者からの付加価値よりも対峙者個人の精神の重さによる価
値が高く、時にその価値は人々の想像を超えることがあります。よっ
て、広義な意味で「人形」は、人が人間と認知する機能を持つもので
あり、人間の形を保つ必要性すらないともいえるでしょう。 人形と対
峙する行為は、まだ見ぬ人間の本質を知っていくための入り口なのか
もしれません。
今回、会場に並ぶ作品は技法も素材もさまざまです。しかし一貫し
て、それぞれ人形の役割を連想させる力があります。それらを鑑賞し
ながら、人形と人間が築くであろう関係性について、改めて探ってい
ければと考えています。
秋保ひとがた文化研究室